ランドスケープってなに?

3)ランドスケープと人

〜人と自然〜
ランドスケープは人にとって快適な環境をつくりだすために生まれました。植物も、人にとって快適な環境づくりのための一つの手法といえるかもしれません。ただ、その「快適さ(アメニティ)」は経済性や利便性のみの探求によって生まれるものでなく、自然と人との最適な営みのバランスによって本来の快適さを表現できるものだと私は思っています。


〜人と人〜
また、人と人とのコミュニティーも重要なランドスケープの要素となります。なぜなら、ランドスケープの領域である多くの外部空間は人との交流や活動の場であり、また不特定多数の行き交いが考えられ、人と人とが健康的に交流できる空間づくりが求められます。

また高齢者や身障者の自由な活動も支えるべき場を創造しなければなりません。経済性によって彼らは非常に弱い立場に追いやられてしまいましたが、人間としての尊厳を守る立場をランドスケープの視点として持たなくてはなりません。

防災上の意義も重要な要素です。騒音・地震・火災など、また風害・雪害・崖崩れに対して緑地は効果的な役割を担います。特に、淡路・阪神大震災では、地震・火災時の非難場所・防火機能としてオープンスペースや緑地が果たした役割が報告されました。


〜人と自然とランドスケープ〜
現在、私たちの社会は非常に解決困難な問題に直面しています。つまり、「自然豊かな社会」と「経済的発展のための社会」です。これらは建築・土木的観点からみた場合、相反するもので、どちらかが犠牲になっていました。

しかし、ランドスケープの観点ではこの2つの社会は両立できる可能性が生まれます。なぜならば、人は自然の一部であり、そのトーラルな自然のバランスを保つという手法をランドスケープは考え続けているからです。

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